ウェーブレット変換に基づくhistogram equalizationを用いた画像強調


氏名:座間味秀仁
学籍番号:045725G
指導教官:M.R.アシャリフ
[概要][ウェーブレット変換の利用] [ヒストグラムによる解像度検出及び画像強調] [まとめと今後の課題] [ 参考資料]

概要

音声信号のフーリエ変換において周波数分解能と時間分解能には不確定性原理に基づく トレードオフが存在する。画像処理においては、すべてのピクセルに対して フーリエ変換を行うとそれぞれの区間における空間的な情報が失われるため、 周波数分解と空間分解能のトレードオフが生じる。

本研究では、空間分解能を確保しつつ画像処理を行うためにウェーブレット変換 を用い、ダウンサンプリング後の失われた情報の捕間を行う手法を提案する。
先頭に戻る


ウェーブレット変換の利用

ウェーブレット変換とは周波数解析の手法の一つ。ちょうどSTFT(short-time-fourier -transform)のようにある一定時間内での周波数特性を分析するのに適している。 周波数をスペクトラムで表すとき、裾野が広がった形と裾野が広がっていない形 とでは周波数分解能が違う。裾野が広がった状態では、周波数空間での正確な画像処理が難しい。

STFTをするために、ある特定の区間で非0となるステップ関数を用いる。 この用な関数を窓関数と呼び、ある区間に窓をかぶせてその部分だけの内積を求め、 窓をかぶせた部分以外ははこの場合無視される。これで特定の区間の周波数分布を分析する事が出来る。

しかし、難点もある。一般的に信号は、様々な周波数が含まれ、 高い周波数の場合は、十分な周波数分解能を得るために必要な窓の長さは短く、低い周波数の場合は、十分な周波数分解能を得るためには、より長い窓が必要になる。窓を長く取ると、時間分解能が下がるため周波数分解能と時間分解能は同時には向上させることは出来ないというトレードオフが発生する。

この不確定性においてウェーブレット変換を使う利点は、「時間周波数の 窓の面積は変えられなくても、運動に応じて時間周波数の窓の形を変える必要 がある」という点である。 時間周波数の窓の形は、窓関数だけから決まってしまい、形を変えるには 窓関数を替えなければならない。どのように取り替えたらよいのだろうか。 そのひとつの答えがここで述べる連続ウェーブレット変換である。

ウェーブレットは波の基本単位として用いられ、Ψ(t)で 表現する。 ウェーブレット関数は2つの実数パラメータa,bを使って

のように定義される。

図に示したようにウェーブレット関数は基本ウェーブレットΨ(t)を 横方向にa倍し、横方向にbだけ平行移動したもの。

大きさは1/√a倍されるが、エネルギー的に一定を保つために必要。 aはスケール(scale)と呼ばれ、ウェーブレットの時間幅を表している ので1/aは周波数に相当する。ここで、横軸関数をxとし、任意の信号f(x) とウェーブレット関数Ψ_a_b(x)との内積

はウェーブレット変換である。ウェーブレット関数は一般的に複素数であり、内積には複素共役が用いられる。 W(a,b)はフーリエ変換のフーリエ係数に相当し、x=bにおいて信号f(x)のなかに &psi_{ab}(x)の成分がどれだけ含まれているかを表している。aが小さいときは 高い周波数成分に、aが大きい時は低い周波数成分に対応する。すなわち、 高い周波数に対しては、周波数分解能は小さくなるが時間分解能は大きくなり、 低い周波数に対しては、周波数分解能は高くなるが、時間分解能は小さくなる。

先頭に戻る


ウェーブレット変換後のヒストグラム均一化

ヒストグラムとは、画像やチャンネルについてピクセル強度の度数を表示する。 つまり、明るさや暗さの指標となるのである。

特に、画像データの各バンド内の個々のピクセル値(放射量)を使って画像を判読し易くすることを「画像強調」と呼ぶ。Histogram Equalizationは非線形な画像強調の一つで、範囲(レンジ)内の各値を持ったピクセルの数がほぼ一定になるように、ピクセルの値を再配分する。

その結果、ヒストグラムの形は平坦に近くなり、「ピーク」付近のコントラストの 増加、「末端」のコントラストは低下する。そうした出力画像は、全体的に コントラストがはっきりした見易い画像となる。

先頭に戻る


まとめと今後の課題

以下に実験検証で核となる構図を示す。

この研究は、時間分解能と周波数分解能のトレードオフの中で、最適な手法を探し画像強調を最適化する。

先頭に戻る


参考資料

[1]「ウェーブレット解析の基礎理論」新井康平著
先頭に戻る