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To: followup@kanai.ie.u-ryukyu.ac.jp
From: kono@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO)
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Subject: Manifold: Origin __ Stephen Baxter
References: < 2566.1038623012@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp> 
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Organization: Information Engineering, University of the Ryukyus
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Date: Tue, 03 Dec 2002 12:53:21 +0900
Message-ID: < 28138.1038887601@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp> 
Sender: kono@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp

河野 真治@琉球大情報工学です。

ってわけで、バクスターの三部作(今のところは...) Manifold: Time,
Manifold: Space の続きの Manifold: Origin を読み終わりました。
1ヵ月半くらいかかったかな。

2002年8月に出た本で、12月にはPaper Back が出るみたい。最近で
はe-Book ってのがあって、それだと、もっと早く読めたりするみ
たいですね。(が、e-Book は Mac OS-X とか Zaurus では読めない。
Adobe はなに考えてんだか...) 

このシリーズは、NASAの宇宙飛行士のマレンファントと、その奥さ
んエマ、そして、日本人の女性科学者根本が登場するのが共通点で
す。状況はいろいろなんだけど。そこで、基本的にはバクスターっ
ぽい宇宙に関する大風呂敷を広げるわけです。

いろんなパラドックスを中心に話が展開されるんですが、Time は、
人類はあと200年で滅ぶという「カータ・カタストロフ」、Space 
は「この宇宙になんで人類しかいないのか」っていう「フェルミ・
パラドックス」がネタです。で、Origin は、やっぱり「フェルミ
・パラドックス」なんだけど、Space の方が「宇宙人がいるとした
ら」みたいな方の話で、Origin の方は「どうして人類がいるのか」
みたいな話です。

NASAを馘になりそうになったマレンファントが奥さんエマと練習機
のT- 38 でアフリカを飛んでいると、突然、月が、3倍の大きさの
赤い月に変わってしまう。そして、目の前には大きな輪が現われて、
T-38 は落とされ、奥さんは大きな輪経由で赤い月に連れられてし
まう。大きな輪からは逆にネアンデルタール人みたいな亜人類がア
フリカに落ちて来る。

3倍の大きさの月の潮汐で破壊された地球から、故郷を失った根本
博士とマレンファントは、Big Dumb Booster + X38 という構成で
エマを救出にいくのだが、そこは、さまざまな「英語を話す」亜人
類がいる場所で、エマとマレンファントたちは「猿の惑星」ばりの
冒険をくり広げることになる。エマとマレンファントは出会えるの
であろうか? 

一方で、月のない地球から来たマネカトポカネマヒドというゴリラ
の進化したような女性が、根本博士といっしょに、赤い月の謎を解
いていき、人類発生の謎にせまる... 

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終りの方は、わりといつもの Manifold なんだけど、少しおとなし
い感じかな。でも、話全体は、「21世紀版 猿の惑星」ですね。そ
っくりそのままぱくったんじゃないかと思うところもあります。お
かげで読むのが辛い本になってます。残虐なんだよね。まぁ、それ
が人類なのさっていうことを言いたいのかもしれない。でも、それ
は西洋的な考えじゃないかなぁ。日本人は、西洋人みたいに、世界
を敵視したり、森を恐れたりはしないんだよっとか思いながら読ん
でました。

読みにくいのは、多重一人称で書かれているせいもあるんだけど、
その複数の一人称のいくつかが「亜人類」だってのが余計読みにく
くしているんだよね。Space の終りの方には、人力原子炉の話が
あるんだけど、その部分を拡大したような感じ。

正直に言えば、Time/Space ほどのインパクトはないかな。普通、
三部作って最後が盛り上がるものなんだけど。これは、前もって
考えていたというよりは、おまけで書いた話なのかもね。もっとも、
Manifold シリーズは、三部作というよりは、お互いに関係ない
連作と考えるべきなんでしょうね。

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus, 
              PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科, 
           科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)
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