「情報産業論」:次世代ディジタル放送システム

講義受講の皆様へ

平成17316      講師:琉球大学工学部情報工学科 ファイヤー和田 知久


2005年3月9日の講義受講ご苦労様でした。皆さんのレポートを拝見して、質問などありましたので、補足させて頂きたいと思います。

(1)デジタルとアナログについて、

講義をうけて理解できたというような感想を多数頂きありがとうございました。でも、アナログがデジタルに変わることになにか寂しさを感じるようなご意見もありました。やや、誤解があるかも知れません。もとの物理的な実態は同じです、その実態を量的にあらわす方法(すなわち表示方法)がアナログからデジタル方式に変わるだけで、実態はなにも変わりません。また、シャノンのサンプリング定理に従えば、アナログの表現を何も失わずにデジタル表現に変換できますし、また逆になにも失わずにデジタルをアナログ表現に変換することができます。したがって、アナログもデジタルも本質的に同じ情報であり、ただデジタルにするとデジタル回路やLSIでの処理がしやすいということです。

繰り返しになりますが、デジタルとアナログとは単なる表現方法の違いで、本質はなにも変わりません。

(2)電波をデジタル化するとなぜ複素数になるか?

複素数とは1つの数字で、実部と虚部の2つの量を同時に表せられます。これは実は三角関数のコサインとサインの2つの波に対応しています。この2つの波を混ぜると実は色んな波を表現できます。逆に説明しますと、自分の表現したい電波はコサインとサインの波に分解できます。そしてそのコサインとサインの特徴を示すパラメータがそれぞれ、複素数の実部と虚部になります。

(3)デジタル放送ではTVサラウンドになるのか?

サラウンドはスピーカー6個分の異なる音楽を同時に鳴らすシステムです。デジタル放送は大容量ですので、この多数の音楽の伝送が可能です。しかし、放送する方がサラウンドのデータを流す必要があるので、放送局次第でサラウンドかステレオ(2スピーカ)になります。

(4)デジタルによる放送以外の変革

変革は絶えず起きています。パソコンの高性能化で、大型のコンピュータは廃れ気味です。携帯電話の増加で、固定電話は減少です。今後はインターネットと放送・通信が融合してゆき、大きな会社の再編も起きそうですね。

(5)ファブレス半導体ベンチャーは本当に半導体を作りますか?

ファブとはFabricationすなわち製造の頭文字であり、レスはlessでないという意味です。一般的な形態は台湾などのLSI製造専門会社と連携し、ファブレス半導体ベンチャーは商品企画・設計・販売などをやります。簡単にいうと、大きな資本を必要とする製造は外部委託です。

(6)飛行機で上空でハイビジョンは見れますか?

地上デジタル波は上空には行かないので見られないです。でも、衛星を使って飛行機と地上を大容量の回線で結ぶ開発も行なわれているので、そのうちに別ルートで見られるようになるかと思います。

(7)質問がいきなり当たりましたが、いつもその調子ですか?

大阪人ということもあり、「突っ込まれたら瞬時に何かを言って返す」というのが当たり前になっています。

(8)どの国の半導体技術が一番進んでいますか?

米国です。

(9)マグナ社に実習できますか?

現状では未定ですが、面接でよければ前向きに考えます。

(10)これから会社を作るならベンチャーですか?

会社をやる目的というより、自分の生きる目的を探した方がよいです。会社はひとつの手段で、自分の究極の目的にその手段が必要ならやれば良いかと思います。ベンチャーの定義を「独自のイノベイションを原動力に成長する新興企業」と定義すれば、ベンチャーは良い会社の形態と思います。

(11)携帯電話のストラップに目覚まし君はなぜ?

特にフジテレビのファンではないですが、好きな方ですので。

(12)結婚の決め手は?

秘密です。

 (その他)

ベンチャーに真剣に興味あれば、琉大工学部情報工学科主催の特別講義III「ベンチャービジネス実践論」というのを夏ごろに予定しています。どうぞ参加ください。阪大の凄い先生らのシリコンバレーベンチャーの体験からの論理的な整理された話が聞けます。

本内容は北陸先端大学院大学MOT講座のベンチャービジネス実践論の一部です。

問い合わせは wada@ie.u-ryukyu.ac.jpまで

 

以上